スポーツビジョンの各トレーニングを総称してビジュアルトレーニングといいます。ビジュアルトレーニングはスポーツビジョン測定機器やパソコンソフトでビジュアルトレーニングをすることもできますが、ここでは、日常的なものを使ってできる簡単なトレーニングを中心に紹介します。
なお、眼はとてもデリケートで疲れやすい器官ですから、トレーニングのしすぎは逆効果となります。一日せいぜい15分程度、できれば毎日が良いが、少なくても週3回以上トレーニングを行います。
 
 
 
 
 
視野全体でとらえ素早くターゲットを捉え反応する。
眼と手の協応動作のトレーニング
 

POWER3Dシステムによるビジュアルトレーニング動体視力
や距離感が重要なスポーツには立体視が重要です。

 
             
   まず,視力のチェックを
    良い視力はスポーツの基礎です。年に1度は視力チェックをいましょう。片眼の視力が落ちていても両眼では気づかないことがあるので左右をチェックします。距離感や立体視に影響がでる場合があります。東京メガネスポーツビジョンセンターには多くのプロ選手やアスリートが訪れますが、視力に無関心な人が多いことに驚きます。スポーツをする上では最低でも0.7以上の静止視力は必要です。
SV研究会の調査で「視力不足でミスをした」は約2割の回答がありました。
     
 
 
     
    ○静止視力
静止視力はビジュアルトレーニングによって向上させることは不可能です。原因である近視、遠視、乱視などの屈折異常はメガネ、コンタクトレンズによる矯正が主流です。最近ではレーシックをする選手もおります。
日常でもパソコンなどに長時間向き合っていると、眼の筋肉が緊張したままの状態が長く続き、眼は大変疲れます。眼にも休憩タイムが必要です。また、自然界の草木、花、遠くの景色を見たりしても眼は休まります。
     
  DVA動体視力    
   
○車窓から看板や駅名を見る
電車から外の看板や駅名などをはっきり見ようとするのがDVA動体視力のポピュラーなトレーニングです。路線の電柱は等間隔のためタイミングが取りやすく、電柱一本ずつはっきり見るのは最も効果的です。 
   
   
 
   
○吊したボールの字を読みとる

文字や数字を書いたボールをひもで天井から吊し、左右に振って読みとるのは簡単な道具でいつでもできます。ゆっくり回転をつけると、さらに負荷をつけたトレーニングになります。
 
 
眼球運動  

○左右の親指の爪を交互に注視する

親指を立て、顔を動かさないで爪の先を交互に眼だけで追います。ボーッと見るのではなく、はっきり焦点をあわせて見ます。爪に小さな数字やアルファベットの文字を張るとより効果的です。腕の左右の幅を広げたり、上下、斜めにしたり、いろいろ工夫します。メトロノームで拍手を早くすると眼球運動のスピードアップになります。
 
   
   
   

○前後の親指の爪を交互に見る

近距離:片方の親指を前に、もう一方を眼の前に一直線にします。遠く、近くと交互にはっきり見るようにすると、深視力のトレーニングにもなります。
   
 
 
    深視力      
   
○常に距離感をもって風景を見る  
距離感:いつも距離の感覚をもって目測します。どちらが前か、どちらが後ろか、目標まで何メートルあるかなどです。
   
   
 
 
○ボールを当てて目測をチェックする

目測が正しいかどうかスポーツでチェックします。サッカーではボールを前方に軽く蹴り出してもらい、別のボールを蹴って当てます。深視力が悪いとうまく当てることはできません。テニスボールでも一個投げ上げ、もう一個のボールをそれに当てて見ます。目測が正しいかどうかのチェックになります。
 
 
             
 



○目測距離を別方向に走る

選手の後ろにボールを置き、一瞬、後ろを振り返り、今見たボールの距離だけダッシュさせます。また、その距離だけボールを前に蹴ったり、投げる練習も効果的です。
 
   
 
 
  瞬間視      
     
   



○雑誌などで誌面の情報を瞬時に把握する

新聞や雑誌などを瞬間的に開いて何が書いてあったか、どんな写真だったかを思い出すようにする。
瞬間視はトレーニングによって誰でも向上することは確かめられています。

   
 
 
     
 
○背後の情報を記憶する

歩いているとき、急に後ろを振り返り、すぐ向き直ります。振り返ったときどんな建物があったか、どんな人がいたか、どんな街の景色だったかをたくさん記憶するようにします。
 
 
             
 
         
   
○スライドで状況判断を行う

スポーツの場面を取ったスライドを瞬間的に見せて、どこにパスをすればいいか、どんなプレーをすればいいかを瞬間的に判断します。この方法は実際にいろいろなスポーツで使われています。大リーグでは投手のボールの握りを一瞬見せて、ストレート、カーブなどと判断させていると言われます。
 
         
 
 
     
 
  ○奇数、偶数で左右にダッシュする
一人が瞬間的に左右の指を立て、指の数をたして奇数なら左へダッシュ、偶数なら右にダッシュというように決めておきます。2+3で左へダッシュというわけです。これはチームでやれば体力トレーニングを兼ねて面白くできます。工夫次第でいろいろなバリエーションが考えられます。
   
       
 
 
    眼と手の協応動作    
   
○眼でみたものに素早く手で反応する

眼でみたものに素早く手で反応する敏捷性はスポーツ選手の基本です。パネルに120個のライトが点灯するので、これを両手を使って素早く押していきます。120個のライトを押すまでの時間を測ります。
この能力は反応の速さとともに、1点に意識を向けないで視野全体に注意を配り、周辺視でライトをとらえる能力が関係します。眼と手がうまく協応する選手かどうかわかります。もぐらたたきでも同様なトレーニング効果が期待できます。
 
 
 
     
 


○小さいボールでスピードをつける
眼でみたものに素早く反応できるのはスポーツ選手の基礎です。日頃、練習しているボールよりも、小さいボールで速いスピードで練習すると効果的です。反応が速いだけでなく、正確さも重要になります。無意識のうちに周辺視を活用するので周辺視野を広げたり、周辺で見たりする能力が向上します。

 
 
 
       
   
○左右のボールを同時に捕る
左右に広げた手にそれぞれボールを持ち、同時に上に投げキャッチします。このときボールは周辺で見ます。歩いたり、ゆっくり走りながらできるようになります。
 
 
     
 

○ボールリフティングを工夫する
例えばテニスボールを左右の手でお手玉のようにジャグリングします。慣れてきたら3個、4個というように数を増やします。また、ボールを小さくして難しくするとより効果的です。
 
     
 
     
 

○親指を中心に周辺視する

テレビを見るとき親指を突き出し、視線は爪に置いたまま、周辺視でテレビを見ます。周辺視の能力が向上します。
 
     
           
     
ボールが止まって見える!「スポーツビジョンレベルアップ講座」 スキージャーナル(株)
スポーツビジョン研究会幹事・愛知工業大学  石垣尚男著 イラスト:高橋道彦から